高血圧について

高血圧の原因と症状を徹底解説!予防から治療まで専門医が教える完全ガイド!!

こんにちは。循環器専門医として日々多くの患者さんと向き合っている医師です。

今回は、日本人の3人に1人が悩んでいるとされる「高血圧」について、 わかりやすく詳しく解説していきます。

高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、 自覚症状がほとんどないまま進行し、 気づいた時には重篤な合併症を引き起こす恐ろしい病気です。

しかし、正しい知識を身につけ、適切な対策を取ることで、 健康な生活を送ることは十分可能です。

この記事では、高血圧の病態について3つの重要な観点から 詳しくお話ししていきます。

【高血圧とは何か?血圧の仕組みと診断基準を理解しよう】

まず、血圧とは何かから説明します。

血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に、 血管の壁にかかる圧力のことです。

水道のホースに水を勢いよく流した時を想像してください。 ホースの中の水圧が高くなるのと同じ原理です。

血圧は「上の血圧」と「下の血圧」の2つの数値で表されます。

上の血圧(収縮期血圧)は、心臓が収縮して血液を送り出す時の圧力です。 そして心臓が血液を出し切って、内部に血液を溜め込む間にも血管内には圧力がかかっています。これが下の血圧(拡張期血圧)です。

日本高血圧学会の診断基準では、診察室での血圧測定において、 収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を 高血圧と診断します。

mmHgとは「水銀柱ミリメートル」という圧力の単位で、 昔の血圧計に水銀が使われていたことに由来します。

高血圧は段階的に分類されており、 軽度(140-159/90-99mmHg)、中等度(160-179/100-109mmHg)、 重度(180/110mmHg以上)に区分されます。

最近では家庭血圧の重要性も注目されており、 家庭での測定では135/85mmHg以上が高血圧の目安となります。

【高血圧の原因とメカニズム|なぜ血圧が上がるのか?】

高血圧は大きく2つのタイプに分けられます。

① 本態性高血圧(一次性高血圧) 

全体の約90%を占める最も一般的なタイプです。 明確な原因が特定できない高血圧で、 複数の要因が複雑に絡み合って発症します。

遺伝的要因が大きく関与しており、両親が高血圧の場合、 子供が高血圧になるリスクは約60%と言われています。

生活習慣も重要な要因です。 塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、 過度の飲酒などが血圧上昇に関わります。

塩分を多く摂ると、体内のナトリウム濃度を一定に保とうとして 水分が多く保持され、血液量が増加します。 その結果、血管にかかる圧力が高くなるのです。

② 二次性高血圧 

全体の約10%を占め、他の病気が原因となって起こる高血圧です。

腎臓の病気(腎硬化症、慢性腎炎など)が最も多く、 腎臓から分泌されるレニンという物質が血圧を上昇させます。

内分泌系の病気も原因となります。 副腎から分泌されるアルドステロンやコルチゾールという ホルモンの異常分泌により血圧が上がります。

血管の病気である大動脈狭窄症や、 一部の薬剤(NSAIDs、経口避妊薬など)も 二次性高血圧の原因となることがあります。

血圧が上がる基本的なメカニズムは、 心臓から送り出される血液量(心拍出量)の増加と、 血管の抵抗(末梢血管抵抗)の増大です。

血管が硬くなったり、細くなったりすると抵抗が増し、 心臓はより強い力で血液を送り出す必要が生じます。

【高血圧の症状と合併症|放置すると起こる深刻な問題】

高血圧の最も恐ろしい特徴は、初期段階では ほとんど自覚症状がないことです。

多くの患者さんは健康診断で初めて高血圧を指摘され、 「まったく症状がないから大丈夫」と考えがちです。

しかし、これこそが高血圧が「サイレントキラー」と 呼ばれる理由なのです。

血圧が非常に高くなった場合(通常180/120mmHg以上)には、 頭痛、めまい、動悸、息切れ、肩こり、耳鳴りなどの 症状が現れることがあります。

しかし、これらの症状は他の原因でも起こるため、 高血圧に特有の症状とは言えません。

高血圧の本当の怖さは合併症にあります。

<心血管系合併症> 
長期間の高血圧により、心臓の筋肉が厚くなる心肥大が起こります。 最終的には心不全に至る可能性があります。
冠動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞のリスクが大幅に増加します。

<脳血管合併症> 
脳の血管が破れる脳出血や、血管が詰まる脳梗塞の最大の危険因子が高血圧です。
収縮期血圧が20mmHg上昇すると、 脳卒中のリスクは約60%増加すると報告されています。

<腎臓合併症> 
腎臓の細い血管が障害され、腎硬化症から 慢性腎臓病へと進行する可能性があります。
重度の場合には人工透析が必要になることもあります。

<その他の合併症> 
網膜の血管が障害される高血圧性網膜症により、 視力障害を起こすことがあります。
下肢の動脈硬化により、歩行時の足の痛みを伴う 閉塞性動脈硬化症を発症することもあります。

これらの合併症は一度発症すると完全な回復は困難なため、 予防が何より重要です。

定期的な血圧測定と、適切な治療により、 これらの深刻な合併症を防ぐことができます。

さいごに

高血圧と診断された場合は、症状がないからといって 治療を怠らず、医師と二人三脚で継続的な 管理を行うことが大切です。

生活習慣の改善(減塩、運動、体重管理)と 必要に応じた薬物療法により、血圧をコントロールし、 健康で充実した生活を送ることが可能です。

高血圧は決して諦める必要のない病気です。 正しい知識と適切な対策により、 合併症を予防し、長期にわたって健康を維持できます。

定期的な健康診断を受け、血圧の変化に注意を払い、 気になることがあれば早めに当院を受診してください。あなたの健康な未来のために、今日から高血圧対策を 始めてみませんか!?

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