高血圧を防ぐ減塩食の始め方|医師が教える簡単レシピと続けるコツ

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行する恐ろしい病気です。

現在、日本人の約3人に1人が高血圧を患っているといわれています。

しかし、適切な食事療法、特に減塩食を実践することで、血圧をコントロールし、健康的な生活を送ることができます。

循環器専門医として、多くの患者さんを診てきた経験から、今回は誰でも無理なく始められる減塩食について、わかりやすくお話しします。

減塩というと「味気ない」「続かない」というイメージを持つ方も多いでしょう。

でも大丈夫です。正しい知識と工夫があれば、美味しく満足できる減塩食を楽しめるようになります。

この記事では、減塩食の基本から実践方法、続けるコツまで、詳しく解説していきます。

【なぜ減塩が必要?高血圧と塩分の深い関係を知ろう】

まず、なぜ減塩が高血圧の予防や治療に重要なのかを理解しましょう。

塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体内の水分バランスが崩れます。

血液中のナトリウム濃度が高くなると、体は薄めようとして水分を多く取り込みます。(子供の時、ナメクジに塩をかけて遊びませんでしたか?塩に水分が吸収されてナメクジがシワシワになるのと同じ原理ですね。)

その結果、血液の量が増え、血管にかかる圧力が高まって血圧が上昇するのです。

日本人の塩分摂取量は、男性で平均10.9g、女性で9.3gと、世界保健機関(WHO)が推奨する1日5g未満を大幅に上回っています。

高血圧の方は、1日6g未満を目標とすることが推奨されています。

塩分を1g減らすだけでも、収縮期血圧(上の血圧)を約1mmHg下げる効果があるという研究結果もあります。

つまり、毎日の小さな心がけが、確実に血圧改善につながるのです。

高血圧を放置すると、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。

心筋梗塞とは、心臓の血管が詰まって心臓の筋肉が壊死する病気です。

脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして起こる病気で、どちらも重篤な後遺症を残す可能性があります。

しかし、適切な減塩食を続けることで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。

【実践!美味しい減塩食の作り方とおすすめレシピ】

「減塩食は味が薄くて美味しくない」という先入観を持つ方が多いですが、工夫次第で十分に美味しく作れます。

ここでは、具体的な調理法とおすすめレシピをご紹介します。

塩分を減らしても美味しく感じるコツは、「うま味」と「香り」を活用することです。

だし(出汁)をしっかりと取ることで、少ない塩分でも深い味わいを楽しめます。

昆布、かつお節、しいたけなどの天然のだし素材を使いましょう。

また、レモンや酢などの酸味、しょうがやにんにくなどの香味野菜を使うことで、味に変化をつけられます。

1. だし香る野菜スープ(1人分の塩分:0.8g)

  • 昆布だし:200ml
  • 玉ねぎ:1/4個
  • にんじん:1/4本
  • キャベツ:1枚
  • 薄口しょうゆ:小さじ1/2
  • 黒こしょう:少々

野菜を一口大に切り、昆布だしで煮込みます。 最後にしょうゆで味を整え、こしょうで香りをつけて完成です。

2. 鶏むね肉の香草焼き(1人分の塩分:0.6g)

  • 鶏むね肉:100g
  • オリーブオイル:大さじ1/2
  • ローズマリー:適量
  • 塩:ひとつまみ(約0.5g)
  • レモン汁:大さじ1

鶏肉にハーブとオリーブオイルをもみ込み、30分置きます。 フライパンで焼き、仕上げにレモン汁をかけて完成です。

3. きのこの和風パスタ(1人分の塩分:1.2g)

  • パスタ:80g
  • しめじ:1/2パック
  • えのき:1/2パック
  • 昆布だし:大さじ2
  • しょうゆ:小さじ1
  • みりん:小さじ1/2
  • 大葉:2枚

きのこをだしで炒め、調味料で味付けします。 茹でたパスタと和えて、千切りの大葉を散らして完成です。

調味料選びのポイント

市販の調味料を選ぶ際は、必ず食品表示をチェックしましょう。

「減塩」「塩分控えめ」と書かれた商品を選ぶのがおすすめです。

また、化学調味料に頼りすぎず、天然のうま味成分を活用することが大切です。

【継続のコツ!無理なく減塩生活を続ける秘訣】

減塩食を始めても、続かなければ意味がありません。

ここでは、長期間継続するための実践的なコツをお伝えします。

急激な減塩は味覚に大きなストレスを与え、挫折の原因となります。

まずは現在の塩分摂取量から2割程度減らすことから始めましょう。

2週間ほど続けると味覚が慣れてくるので、さらに少しずつ減らしていきます。

この方法なら、無理なく目標の塩分量に近づけます。

外食やコンビニ弁当は塩分が多く含まれています。

可能な限り自炊を心がけ、外食時は以下のポイントを意識しましょう。

・麺類のスープは残す ・ドレッシングは別添えにして少量使用 ・蒸し料理や焼き料理を選ぶ ・野菜多めのメニューを選択

減塩食の継続には、家族の理解と協力が不可欠です。

家族みんなで減塩に取り組むことで、お互いに励まし合いながら続けられます。

また、家族の健康維持にもつながるため、一石二鳥の効果が期待できます。

血圧手帳や食事記録をつけることで、減塩の効果を実感できます。

血圧の変化を記録することで、モチベーションの維持につながります。

最近では、スマートフォンアプリで簡単に記録できるものも多数あります。

1週間、1ヶ月といった区切りで、自分にご褒美を用意しましょう。

ただし、ご褒美が高塩分の食事にならないよう注意が必要です。

新しい減塩レシピの本を買う、健康器具を購入するなど、健康に関連したご褒美がおすすめです。

減塩生活を続けると、素材本来の味を感じられるようになります。

野菜の甘み、魚の旨み、お米の風味など、今まで気づかなかった美味しさを発見できるでしょう。

この変化を楽しみながら、減塩生活を継続していきましょう。

まとめ

高血圧の予防と治療において、減塩食は非常に重要な役割を果たします。

適切な知識と工夫があれば、美味しく満足できる減塩食を楽しめるようになります。

まずは現在の食生活を見直し、段階的に塩分を減らしていくことから始めましょう。

だしのうま味や香味野菜を活用した調理法をマスターすることで、減塩でも十分に美味しい料理が作れます。

継続のためには、家族の協力を得ながら、無理のない範囲で取り組むことが大切です。

血圧の改善は一朝一夕には実現しませんが、毎日の小さな積み重ねが必ず結果につながります。

循環器専門医として、皆さんの健康な生活を心から応援しています。

今日から始められることから、少しずつ取り組んでみてください。

あなたの健康な未来のために、減塩食生活を始めてみませんか!?

南住吉の内科・循環器クリニックです

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