2025/09/29

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行する恐ろしい病気です。
現在、日本人の約3人に1人が高血圧を患っているといわれています。
しかし、適切な食事療法、特に減塩食を実践することで、血圧をコントロールし、健康的な生活を送ることができます。
循環器専門医として、多くの患者さんを診てきた経験から、今回は誰でも無理なく始められる減塩食について、わかりやすくお話しします。
減塩というと「味気ない」「続かない」というイメージを持つ方も多いでしょう。
でも大丈夫です。正しい知識と工夫があれば、美味しく満足できる減塩食を楽しめるようになります。
この記事では、減塩食の基本から実践方法、続けるコツまで、詳しく解説していきます。
まず、なぜ減塩が高血圧の予防や治療に重要なのかを理解しましょう。
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、体内の水分バランスが崩れます。
血液中のナトリウム濃度が高くなると、体は薄めようとして水分を多く取り込みます。(子供の時、ナメクジに塩をかけて遊びませんでしたか?塩に水分が吸収されてナメクジがシワシワになるのと同じ原理ですね。)
その結果、血液の量が増え、血管にかかる圧力が高まって血圧が上昇するのです。
日本人の塩分摂取量は、男性で平均10.9g、女性で9.3gと、世界保健機関(WHO)が推奨する1日5g未満を大幅に上回っています。
高血圧の方は、1日6g未満を目標とすることが推奨されています。
塩分を1g減らすだけでも、収縮期血圧(上の血圧)を約1mmHg下げる効果があるという研究結果もあります。
つまり、毎日の小さな心がけが、確実に血圧改善につながるのです。
高血圧を放置すると、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが高まります。
心筋梗塞とは、心臓の血管が詰まって心臓の筋肉が壊死する病気です。
脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりして起こる病気で、どちらも重篤な後遺症を残す可能性があります。
しかし、適切な減塩食を続けることで、これらのリスクを大幅に減らすことができます。
「減塩食は味が薄くて美味しくない」という先入観を持つ方が多いですが、工夫次第で十分に美味しく作れます。
ここでは、具体的な調理法とおすすめレシピをご紹介します。
味付けの工夫で満足度アップ
塩分を減らしても美味しく感じるコツは、「うま味」と「香り」を活用することです。
だし(出汁)をしっかりと取ることで、少ない塩分でも深い味わいを楽しめます。
昆布、かつお節、しいたけなどの天然のだし素材を使いましょう。
また、レモンや酢などの酸味、しょうがやにんにくなどの香味野菜を使うことで、味に変化をつけられます。
簡単減塩レシピ3選!!
1. だし香る野菜スープ(1人分の塩分:0.8g)
野菜を一口大に切り、昆布だしで煮込みます。 最後にしょうゆで味を整え、こしょうで香りをつけて完成です。
2. 鶏むね肉の香草焼き(1人分の塩分:0.6g)
鶏肉にハーブとオリーブオイルをもみ込み、30分置きます。 フライパンで焼き、仕上げにレモン汁をかけて完成です。
3. きのこの和風パスタ(1人分の塩分:1.2g)
きのこをだしで炒め、調味料で味付けします。 茹でたパスタと和えて、千切りの大葉を散らして完成です。
調味料選びのポイント
市販の調味料を選ぶ際は、必ず食品表示をチェックしましょう。
「減塩」「塩分控えめ」と書かれた商品を選ぶのがおすすめです。
また、化学調味料に頼りすぎず、天然のうま味成分を活用することが大切です。
減塩食を始めても、続かなければ意味がありません。
ここでは、長期間継続するための実践的なコツをお伝えします。
段階的に塩分を減らす
急激な減塩は味覚に大きなストレスを与え、挫折の原因となります。
まずは現在の塩分摂取量から2割程度減らすことから始めましょう。
2週間ほど続けると味覚が慣れてくるので、さらに少しずつ減らしていきます。
この方法なら、無理なく目標の塩分量に近づけます。
外食時の注意点
外食やコンビニ弁当は塩分が多く含まれています。
可能な限り自炊を心がけ、外食時は以下のポイントを意識しましょう。
・麺類のスープは残す ・ドレッシングは別添えにして少量使用 ・蒸し料理や焼き料理を選ぶ ・野菜多めのメニューを選択
家族の協力を得る
減塩食の継続には、家族の理解と協力が不可欠です。
家族みんなで減塩に取り組むことで、お互いに励まし合いながら続けられます。
また、家族の健康維持にもつながるため、一石二鳥の効果が期待できます。
記録をつける習慣
血圧手帳や食事記録をつけることで、減塩の効果を実感できます。
血圧の変化を記録することで、モチベーションの維持につながります。
最近では、スマートフォンアプリで簡単に記録できるものも多数あります。
ご褒美システムの活用
1週間、1ヶ月といった区切りで、自分にご褒美を用意しましょう。
ただし、ご褒美が高塩分の食事にならないよう注意が必要です。
新しい減塩レシピの本を買う、健康器具を購入するなど、健康に関連したご褒美がおすすめです。
味覚の変化を楽しむ
減塩生活を続けると、素材本来の味を感じられるようになります。
野菜の甘み、魚の旨み、お米の風味など、今まで気づかなかった美味しさを発見できるでしょう。
この変化を楽しみながら、減塩生活を継続していきましょう。
高血圧の予防と治療において、減塩食は非常に重要な役割を果たします。
適切な知識と工夫があれば、美味しく満足できる減塩食を楽しめるようになります。
まずは現在の食生活を見直し、段階的に塩分を減らしていくことから始めましょう。
だしのうま味や香味野菜を活用した調理法をマスターすることで、減塩でも十分に美味しい料理が作れます。
継続のためには、家族の協力を得ながら、無理のない範囲で取り組むことが大切です。
血圧の改善は一朝一夕には実現しませんが、毎日の小さな積み重ねが必ず結果につながります。
循環器専門医として、皆さんの健康な生活を心から応援しています。
今日から始められることから、少しずつ取り組んでみてください。
あなたの健康な未来のために、減塩食生活を始めてみませんか!?
2025/09/22
普段は血圧は高くないのに、健康診断や病院で測った時に限って高く出てしまうことはありませんか??
「家で測ると血圧はたかくないから、そんなはずないのに・・」と思ったことはありませんか?
それは「白衣高血圧」という現象かもしれません。

白衣高血圧とは、医療機関で測定した血圧が140/90mmHg以上の高血圧の基準を超えているのに、家庭で測定した血圧は135/85mmHg未満の正常値を示す状態のことです。
この現象は決して珍しいことではありません。実際に、高血圧と診断された方の約15~30%が白衣高血圧であるという報告もあります。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。病気として治療が必要なのでしょうか。循環器専門医として、皆さんの疑問にお答えします。
白衣高血圧が起こる最大の原因は、心理的なストレスです。病院という環境や医師の白衣を見ることで緊張し、交感神経が活発になります。
交感神経とは、体を興奮状態にする神経のことで、心拍数を上げたり血管を収縮させたりする働きがあります。その結果、一時的に血圧が上昇するのです。
具体的には、以下のような心理的要因が関係しています。
医療機関への不安や恐怖心が血圧上昇を引き起こします。注射や検査への恐れ、病気が見つかるのではないかという心配などが影響します。
待ち時間の緊張状態も血圧を押し上げます。診察室に入るまでの間、じっとしていることで不安が募り、血圧が高くなりがちです。
医師との対面時の緊張感も大きな要因です。権威ある存在である医師を前にすると、無意識のうちに体が緊張状態になります。
血圧測定への意識も影響します。「血圧が高かったらどうしよう」という思いが、かえって血圧を上昇させてしまうのです。
白衣高血圧を正確に診断するには、家庭での血圧測定が欠かせません。医療機関だけでの測定では、本当の血圧状態を把握できないからです。
家庭血圧測定のポイントをご紹介します。
測定のタイミングは朝と夜の2回が基本です。朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前に測定します。夜は就寝前に測定しましょう。
正しい姿勢で測定することが大切です。椅子に座り、背もたれに背中をつけ、足裏を床にしっかりつけます。腕は心臓の高さに保ちます。
測定前は5分程度安静にしてください。運動や入浴、カフェインの摂取直後は避けましょう。会話も血圧に影響するため、測定中は静かにしていてください。
記録をつけることも重要です。血圧手帳やスマートフォンのアプリを活用し、日付、時刻、測定値を記録しましょう。
24時間血圧測定(ABPM)という検査もあります。携帯型の血圧計を24時間装着し、自動的に血圧を測定する方法です。より詳細な血圧変動を知ることができます。
白衣高血圧の診断基準は明確です。診察室血圧が140/90mmHg以上で、家庭血圧が135/85mmHg未満、または24時間血圧の平均が130/80mmHg未満の場合に診断されます。
白衣高血圧は真の高血圧ではないため、基本的には降圧薬による治療は必要ありません。しかし、将来的な高血圧のリスクがあるため、定期的な経過観察が重要です。
生活習慣の改善が最も大切な対策です。
適度な運動を心がけましょう。週3回以上、30分程度の有酸素運動が効果的です。ウォーキングや水泳、自転車漕ぎなどがおすすめです。
食事療法も重要です。塩分を1日6g未満に制限し、野菜や果物を多く摂取します。カリウムを豊富に含む食品は血圧を下げる効果があります。
適正体重の維持も大切です。BMI(体格指数)25未満を目標にしましょう。体重が1kg減ると、血圧は約1mmHg下がるとされています。
ストレス管理も欠かせません。深呼吸やヨガ、瞑想などのリラクゼーション法を取り入れ、心理的なストレスを軽減しましょう。
禁煙と節酒も必要です。喫煙は血管を収縮させ、飲酒は血圧を上昇させる可能性があります。
医療機関での緊張を和らげる方法もあります。診察前は深呼吸をして心を落ち着かせ、不安があれば医師に相談しましょう。
定期的な家庭血圧の測定を続けることで、血圧の変化を早期に発見できます。月1回程度の通院で経過を観察し、必要に応じて治療方針を調整します。
白衣高血圧の方の約30%が、将来的に真の高血圧に移行するという報告もあります。そのため、油断せずに生活習慣の改善と定期的な血圧チェックを継続することが重要です。
白衣高血圧は病院での緊張により一時的に血圧が上昇する現象で、真の高血圧とは区別されます。正確な診断には家庭血圧測定が不可欠です。
治療は生活習慣の改善が中心となり、定期的な経過観察が重要です。将来的な高血圧への移行リスクもあるため、継続的な管理が必要です。思い当たる方は、ぜひ一度当院を受診してください。一緒に白衣高血圧かどうか調べてみましょう。
2025/09/21
高血圧と診断された方の中には、「なぜ自分が高血圧になったのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
また、「血圧の薬を飲んでいるのに、なかなか血圧が下がらない」、「中高年の病気と思っていたのに、若い時から血圧が高かった」という人もいるのではないでしょうか?
今回の内容は、その疑問を解決するヒントになると思いますので、思い当たる方は是非最後までお読みいただければ幸いです!!
実は、高血圧には大きく分けて2つの種類があります。
一つは「本態性高血圧」と呼ばれるもので、明確な原因がわからないタイプです。高血圧患者さんの約90%がこちらに該当します。
もう一つが「二次性高血圧」です。こちらは特定の病気や薬の影響によって血圧が上がってしまうタイプで、高血圧患者さんの約10%を占めています。
二次性高血圧の最大の特徴は、原因となっている病気を治療することで高血圧が改善する可能性が高いということです。つまり、「治りやすい高血圧」と言えるでしょう。
今回は、循環器専門医として二次性高血圧の病態について、皆さんにわかりやすくお伝えしたいと思います。
二次性高血圧を引き起こす病気は、実にさまざまです。代表的なものをご紹介しましょう。
腎臓の病気による高血圧
腎臓は血圧を調節する重要な臓器です。腎臓の機能が低下すると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、血圧が上昇します。
「腎実質性高血圧」は、慢性腎炎や糖尿病性腎症などの腎臓病によって起こります。腎臓の組織が傷つくことで、血圧を下げるホルモンの分泌が減少し、結果として高血圧になってしまいます。
「腎血管性高血圧」は、腎臓に血液を送る動脈が狭くなることで発症します。動脈硬化や繊維筋性異形成という病気が原因となることが多いです。
腎臓が「血液が足りない」と誤解して、血圧を上げるホルモン(レニン)を過剰に分泌してしまうのです。
ホルモンの異常による高血圧
私たちの体には、血圧を調節するさまざまなホルモンがあります。これらのホルモンのバランスが崩れると、高血圧が起こります。
「原発性アルドステロン症」は、副腎という臓器からアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。このホルモンは体内にナトリウム(塩分)を溜め込む働きがあるため、血圧が上昇します。
「褐色細胞腫」では、アドレナリンやノルアドレナリンという興奮作用のあるホルモンが過剰に分泌されます。これらのホルモンは心臓の拍動を強くし、血管を収縮させるため、血圧が急激に上昇することがあります。
「クッシング症候群」は、コルチゾールというステロイドホルモンが過剰になる病気です。このホルモンも血圧を上昇させる作用があります。
「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」も見逃せない原因の一つです。甲状腺は首の前側にある蝶々のような形をした臓器で、体の新陳代謝を調節するホルモンを分泌しています。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、心臓の拍動が速くなり、収縮する力も強くなります。また、血管の抵抗も変化するため、特に収縮期血圧(上の血圧)が上昇しやすくなります。
その他の原因
「睡眠時無呼吸症候群」も二次性高血圧の重要な原因の一つです。睡眠中に呼吸が止まることで、体が酸素不足を感じ、交感神経が活発になって血圧が上昇します。
また、一部の薬剤も高血圧の原因となることがあります。非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)や経口避妊薬、漢方薬の甘草などが該当します。
二次性高血圧を早期に発見することは、効果的な治療につながる重要なステップです。どのような症状や特徴があるのでしょうか。
注意すべき症状
二次性高血圧では、通常の高血圧とは異なる特徴的な症状が現れることがあります。
若い年齢(30歳未満)で高血圧が発症した場合や、急に血圧が高くなった場合は要注意です。また、血圧が非常に高い値を示す場合(収縮期血圧180mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上)も二次性高血圧の可能性があります。
原発性アルドステロン症では、筋力低下やこむら返り、多尿などの症状が見られることがあります。これは血液中のカリウムが低下するためです。
褐色細胞腫では、頭痛、動悸、発汗、顔面蒼白などの症状が発作的に現れることが特徴的です。まるでパニック発作のような症状が起こることもあります。
甲状腺機能亢進症では、動悸、息切れ、手の震え、体重減少、暑がり、イライラなどの症状が見られます。また外見上も、眼球が突出したり、首の腫れ(甲状腺腫)が見られたりすることもあります。これらの症状は徐々に現れることが多いため、気づきにくいことも多いです。
睡眠時無呼吸症候群では、大きないびき、日中の強い眠気、起床時の頭痛などが見られます。
診断の進め方
二次性高血圧が疑われる場合、医師はさまざまな検査を行います。
まず基本的な血液検査で、腎機能やホルモンの値を調べます。特に、レニン、アルドステロン、コルチゾール、甲状腺ホルモン(TSH、FT3、FT4)などの測定が重要です。
画像検査では、腹部CT検査やMRI検査により、副腎や腎臓の状態を詳しく調べます。腎血管性高血圧が疑われる場合は、造影剤を使った血管撮影検査を行うこともあります。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、睡眠ポリグラフという睡眠中の無呼吸を検出する検査を行います。
これらの検査により、二次性高血圧の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。
二次性高血圧の治療は、原因となっている病気を治療することが基本となります。これが本態性高血圧との大きな違いです。
腎臓病による高血圧の治療
腎実質性高血圧の場合、まず腎臓病の進行を抑える治療を行います。ACE阻害薬やARBという種類の降圧薬は、腎臓を保護する効果があるため、第一選択として使用されます。
また、食事療法も重要です。塩分制限(1日6g未満)とタンパク質制限により、腎臓への負担を軽減します。
腎血管性高血圧では、狭くなった血管を広げる治療を行います。カテーテルを使って血管内にステントという器具を留置する「経皮的腎動脈形成術」や、外科手術による血管再建術が選択されます。
ホルモン異常による高血圧の治療
原発性アルドステロン症では、副腎の腫瘍が原因の場合は外科手術により腫瘍を摘出します。両側の副腎に問題がある場合は、スピロノラクトンという薬でアルドステロンの作用を阻害します。
褐色細胞腫も基本的には外科手術による摘出が治療の中心となります。手術前には、アドレナリンの作用を抑える薬(αブロッカー、βブロッカー)を使用して、血圧や心拍数を安定させます。
クッシング症候群では、原因に応じて下垂体や副腎の手術、薬物療法などを行います。
甲状腺機能亢進症の治療では、抗甲状腺薬により甲状腺ホルモンの産生を抑制します。薬物療法で改善しない場合や再発を繰り返す場合は、放射性ヨウ素治療や甲状腺摘出手術を検討することもあります。
その他の治療
睡眠時無呼吸症候群では、CPAP(持続陽圧呼吸療法)という治療法が効果的です。睡眠中にマスクを装着し、持続的に空気を送り込むことで気道の閉塞を防ぎます。
また、減量や禁酒、禁煙なども重要な治療の一部となります。
薬剤性高血圧の場合は、原因となっている薬の中止や変更を検討します。ただし、必要な薬の場合は、医師と相談の上で代替薬への変更を行います。
治療効果と予後
二次性高血圧の治療効果は、原因疾患や発見時期によって異なりますが、多くの場合で良好な結果が期待できるため、血圧の正常化や著明な改善が得られることが多く、降圧薬の減量や中止が可能になることもあります。
ただし、腎臓病が進行している場合や、高血圧の持続期間が長い場合は、完全な正常化は困難なこともあります。それでも、進行を遅らせることは十分可能です。
二次性高血圧は、原因となる病気を治療することで改善が期待できる「治りやすい高血圧」です。
早期発見・早期治療が何より重要であり、適切な診断と治療により、多くの患者さんで良好な治療効果が期待できます。
高血圧と診断された方、特に若年発症や急激な血圧上昇、特徴的な症状がある方は、ぜひ当院にご相談ください。
二次性高血圧かもしれないと心配している方も、まずは受診し、適切な検査を受けることをお勧めします。
正しい診断と治療により、健康で質の高い生活を送ることができるはずです!!
2025/09/12

こんにちは。循環器専門医として日々多くの患者さんと向き合っている医師です。
今回は、日本人の3人に1人が悩んでいるとされる「高血圧」について、 わかりやすく詳しく解説していきます。
高血圧は「サイレントキラー(静かな殺し屋)」とも呼ばれ、 自覚症状がほとんどないまま進行し、 気づいた時には重篤な合併症を引き起こす恐ろしい病気です。
しかし、正しい知識を身につけ、適切な対策を取ることで、 健康な生活を送ることは十分可能です。
この記事では、高血圧の病態について3つの重要な観点から 詳しくお話ししていきます。
まず、血圧とは何かから説明します。
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出す際に、 血管の壁にかかる圧力のことです。
水道のホースに水を勢いよく流した時を想像してください。 ホースの中の水圧が高くなるのと同じ原理です。
血圧は「上の血圧」と「下の血圧」の2つの数値で表されます。
上の血圧(収縮期血圧)は、心臓が収縮して血液を送り出す時の圧力です。 そして心臓が血液を出し切って、内部に血液を溜め込む間にも血管内には圧力がかかっています。これが下の血圧(拡張期血圧)です。
日本高血圧学会の診断基準では、診察室での血圧測定において、 収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を 高血圧と診断します。
mmHgとは「水銀柱ミリメートル」という圧力の単位で、 昔の血圧計に水銀が使われていたことに由来します。
高血圧は段階的に分類されており、 軽度(140-159/90-99mmHg)、中等度(160-179/100-109mmHg)、 重度(180/110mmHg以上)に区分されます。
最近では家庭血圧の重要性も注目されており、 家庭での測定では135/85mmHg以上が高血圧の目安となります。
高血圧は大きく2つのタイプに分けられます。
① 本態性高血圧(一次性高血圧)
全体の約90%を占める最も一般的なタイプです。 明確な原因が特定できない高血圧で、 複数の要因が複雑に絡み合って発症します。
遺伝的要因が大きく関与しており、両親が高血圧の場合、 子供が高血圧になるリスクは約60%と言われています。
生活習慣も重要な要因です。 塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙、 過度の飲酒などが血圧上昇に関わります。
塩分を多く摂ると、体内のナトリウム濃度を一定に保とうとして 水分が多く保持され、血液量が増加します。 その結果、血管にかかる圧力が高くなるのです。
② 二次性高血圧
全体の約10%を占め、他の病気が原因となって起こる高血圧です。
腎臓の病気(腎硬化症、慢性腎炎など)が最も多く、 腎臓から分泌されるレニンという物質が血圧を上昇させます。
内分泌系の病気も原因となります。 副腎から分泌されるアルドステロンやコルチゾールという ホルモンの異常分泌により血圧が上がります。
血管の病気である大動脈狭窄症や、 一部の薬剤(NSAIDs、経口避妊薬など)も 二次性高血圧の原因となることがあります。
血圧が上がる基本的なメカニズムは、 心臓から送り出される血液量(心拍出量)の増加と、 血管の抵抗(末梢血管抵抗)の増大です。
血管が硬くなったり、細くなったりすると抵抗が増し、 心臓はより強い力で血液を送り出す必要が生じます。
高血圧の最も恐ろしい特徴は、初期段階では ほとんど自覚症状がないことです。
多くの患者さんは健康診断で初めて高血圧を指摘され、 「まったく症状がないから大丈夫」と考えがちです。
しかし、これこそが高血圧が「サイレントキラー」と 呼ばれる理由なのです。
血圧が非常に高くなった場合(通常180/120mmHg以上)には、 頭痛、めまい、動悸、息切れ、肩こり、耳鳴りなどの 症状が現れることがあります。
しかし、これらの症状は他の原因でも起こるため、 高血圧に特有の症状とは言えません。
高血圧の本当の怖さは合併症にあります。
<心血管系合併症>
長期間の高血圧により、心臓の筋肉が厚くなる心肥大が起こります。 最終的には心不全に至る可能性があります。
冠動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞のリスクが大幅に増加します。
<脳血管合併症>
脳の血管が破れる脳出血や、血管が詰まる脳梗塞の最大の危険因子が高血圧です。
収縮期血圧が20mmHg上昇すると、 脳卒中のリスクは約60%増加すると報告されています。
<腎臓合併症>
腎臓の細い血管が障害され、腎硬化症から 慢性腎臓病へと進行する可能性があります。
重度の場合には人工透析が必要になることもあります。
<その他の合併症>
網膜の血管が障害される高血圧性網膜症により、 視力障害を起こすことがあります。
下肢の動脈硬化により、歩行時の足の痛みを伴う 閉塞性動脈硬化症を発症することもあります。
これらの合併症は一度発症すると完全な回復は困難なため、 予防が何より重要です。
定期的な血圧測定と、適切な治療により、 これらの深刻な合併症を防ぐことができます。

高血圧と診断された場合は、症状がないからといって 治療を怠らず、医師と二人三脚で継続的な 管理を行うことが大切です。
生活習慣の改善(減塩、運動、体重管理)と 必要に応じた薬物療法により、血圧をコントロールし、 健康で充実した生活を送ることが可能です。
高血圧は決して諦める必要のない病気です。 正しい知識と適切な対策により、 合併症を予防し、長期にわたって健康を維持できます。
定期的な健康診断を受け、血圧の変化に注意を払い、 気になることがあれば早めに当院を受診してください。あなたの健康な未来のために、今日から高血圧対策を 始めてみませんか!?
2025/02/19

「血管が浮き出て見えて気持ち悪い、見た目が気になるのでスカートやショートパンツが履けなくなった」
「血管がボコボコ膨らんでいる」
「足がつるようになった(こむらがえり)」
「足がむくむ、じんじん痛む、痒い」「足首あたりが茶色く変色している(色素沈着)」
これらの症状は全て、「下肢静脈瘤」という病気が原因です。
「何年も前からあるから」「こんなものと思っていた」「他の病院で放置していい、治しようがないと言われた」と諦めていませんか?
下肢静脈瘤は、ちゃんと診断、治療できる病気です!気になる方はぜひ足を見せに来てください!
下肢とは「足」、瘤とは「コブ」を意味します。つまり足の静脈がコブのように膨れてボコボコしている状態が下肢静脈瘤のわかりやすい状態です。
しかし、下肢静脈瘤と一言で言っても、見た目だけの問題では無いのです。「特に気にしていなかったけど実は静脈瘤だった」とか、「何年も足の症状に悩んで皮膚科や整形外科など色々受診したけど原因がわからず、実は静脈瘤だった」という方もいます。
今回はこの静脈瘤について、わかりやすく説明していきます。
下肢静脈瘤の症状は多岐にわたり、その重症度もさまざまです。見た目の変化が顕著でも症状がほとんどない場合や、逆に目立った静脈瘤がなくても強い症状を訴える場合もあります。
最も一般的な症状は、脚の表面に浮き出た青紫色や緑色の蛇行した静脈です。これは美容上の問題として認識されることが多いですが、実際には血行障害のサインです。
見た目以外で多くの患者さんが訴える自覚症状としては、脚の重だるさ、疲労感、痛み、むくみ、こむら返り(特に夜間)などがあります。これらの症状は、長時間立ったり座ったりした後に悪化し、脚を挙上すると改善する特徴があります。
進行すると、静脈周囲の皮膚に変化が現れます。色素沈着(茶褐色の変色)、湿疹様の皮膚炎、皮膚の硬化などが見られるようになります。さらに重症化すると、潰瘍が形成され、これは治りにくく、感染リスクも高まります。
また、極端に進行した場合は、コブの部分が膨らみすぎて皮膚が非常に薄くなり、その部分をぶつけるなどの軽い物理的な刺激でコブが破裂し、出血することもあります。その場合、止血するには圧迫するしかなく(皮膚がペラペラなので縫って止血することができません)、治療に難渋することになります。
##頻度
下肢静脈瘤は非常に一般的な血管疾患で、成人人口の20-25%に影響を与えていると推定されています。日本では、約2,000万人が何らかの形で静脈瘤を持っているとされています。女性は男性よりも発症率が高く、特に複数回妊娠を経験した方に多く見られます。年齢とともに発症リスクは上昇し、60歳以上では約50%の方が何らかの静脈瘤症状を持っています。
職業によるリスク差も顕著で、長時間立ち仕事をする看護師、教師、美容師、販売員などは特にリスクが高いことが知られています。また、遺伝的要因も大きく、両親のどちらかが静脈瘤を持つ場合、子供の発症リスクは約40%上昇します。
近年では生活習慣の変化により、座位時間の長い事務職や、過体重・肥満の増加も新たなリスク因子となっています。また、高齢化社会の進行に伴い、全体的な患者数は増加傾向にあります。早期発見と適切な治療介入により、重症化を防ぐことが重要です。
## 原因
下肢静脈瘤の主な原因は、静脈弁の逆流です。通常、脚の静脈には血液が心臓に向かって一方通行で流れるよう弁が付いていますが、この弁が壊れてしまうと、血液が逆流して静脈内に溜まり、静脈が拡張・蛇行します。
この弁逆流をもたらす要因として、まず遺伝的な静脈壁や弁の脆弱性が挙げられます。また、加齢による組織の弾力性低下も重要な因子です。女性ホルモンの影響も大きく、特に妊娠中はプロゲステロンの増加により静脈壁が弛緩しやすくなります。さらに、妊娠による子宮の拡大が骨盤内や下肢の静脈を圧迫することも原因となります。
長時間の立ち仕事や座り仕事は、下肢の静脈内圧を上昇させ、弁に過度の負担をかけます。肥満も同様に静脈への圧力を増加させるリスク因子です。また、深部静脈血栓症の既往がある場合、静脈弁が損傷を受け、静脈瘤発症のリスクが高まります。
生活習慣では、運動不足による筋ポンプ作用の低下や、便秘による腹圧上昇も静脈瘤の形成に寄与します。これらの複数の要因が組み合わさることで、静脈瘤は徐々に進行していきます。
まず、下肢静脈瘤は、よほど進行しないかぎり、命に関わる重篤な疾患ではありません。ですので、下肢静脈瘤を指摘されたからと言って、すぐに治療しなければならないとか、このまま放っておいたら取り返しのつかないことになるのでは・・、と不安に思う必要はありません。極端なことを言えば、本人が困っていなければ放置しても問題ありません。
下肢静脈瘤の治療は、症状の程度や静脈瘤の状態に応じて選択されます。まず、初期治療や軽症例では保存的治療が中心となります。具体的には、弾性ストッキングの着用、適度な運動(特にウォーキングや水中運動)、脚の挙上、体重管理などが推奨されます。これらは症状緩和に効果的ですが、静脈瘤自体を消失させるものではありません。
より積極的な治療を希望する場合や症状が強い場合には、様々な侵襲的治療法があります。従来の外科的治療(ストリッピング手術)は、全身麻酔や入院を要しましたが、現在では日帰りで行える低侵襲治療が主流となっています。
##低侵襲なカテーテル治療
代表的な低侵襲治療には、カテーテルを用いた血管内レーザー焼灼術(EVLA)や高周波焼灼術(RFA)があります。これらは静脈内にカテーテルを挿入し、熱エネルギーで静脈を閉塞させる方法です。最近では2019年12月から、医療用接着剤(グルー)を用いたVenaSeal™という、さらに痛みの少ない新技術も導入されています。
##小さな静脈瘤には、硬化療法や瘤切除を
また、皮膚の表面の小さな静脈瘤に対しては、硬化療法や瘤切除を行うこともできます。硬化療法とは特殊な薬剤を静脈内に注入して閉塞させる方法です。瘤切除はその名のとおり物理的に静脈瘤を切除してしまいます。1-2mmほどの極小の皮膚切開から、血管を引っ掛けるフック状の器具を用いて、芋づる式にコブになった静脈を引き抜きます。特に、見た目が気になる静脈瘤に対しては、これらの方法が適しています。
##針も使わない方法も!!
自費診療にはなりますが、全く針も刺さない治療法もあります。これは、蜘蛛の巣状や網目状の、皮膚表層にある細かい静脈瘤に用いられます。美容医療用のレーザーを皮膚表面から当てて、静脈瘤を焼き潰してしまいます。こちらも、見た目が気になる細かい静脈瘤に良い適応になります。
治療法の選択は、患者さんの年齢、全身状態、静脈瘤の部位や程度、患者さんの希望など多角的に検討して決定します。どの治療法を選択する場合も、専門医による正確な診断と、超音波検査などによる詳細な血管評価が不可欠です。また、治療後も再発予防のため、生活習慣の改善や適切な圧迫療法の継続が重要で、治療したらそれで終わりという訳ではありません。
いかがでしたでしょうか。それぞれの治療法の具体的な流れや、注意点など、まだまだお伝えしきれていない事は沢山あるのですが、これから随時追加していきますので、乞うご期待ください!!
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 午前診 9:00~12:00 |
||||||||
| 午前診 9:00~13:00 |
||||||||
| 午後診 14:00~18:30 |
JR阪和線
我孫子町駅より徒歩5分
南海高野線
沢之町駅より徒歩10分
御堂筋線
長居駅より徒歩10分
あびこ駅より徒歩10分
併設スーパーに
無料駐車場整備予定