
- 睡眠時無呼吸症候群とは?いびきの原因と高血圧・心臓病リスクを循環器専門医が解説
- 睡眠時無呼吸症候群の原因と症状
- いびき・日中の眠気は要注意|睡眠時無呼吸症候群と心臓病の関係
- 睡眠時無呼吸症候群を調べるには?自宅でできる簡単な検査!簡易検査PSGのすすめ
「いびきがうるさいと家族に言われる」「日中どうしても眠くなってしまう」。そんな経験はありませんか。
それは、睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん、略してSAS)のサインかもしれません。
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりを繰り返してしまう病気のことです。
大きないびきの合間に呼吸が止まり、しばらくしてまた大きな呼吸とともに再開する、という状態を一晩に何十回、何百回も繰り返す方も少なくありません。
放っておくと、日中の強い眠気や集中力の低下だけでなく、高血圧を初めとした心臓や血管の病気にもつながることが分かってきています。
今回は循環器専門医の立場から、睡眠時無呼吸症候群の原因と高血圧・心臓病との関係、そして自宅で手軽に受けられる検査について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
次のような症状に心当たりがある方は、特に注意が必要です。
・家族から大きないびきや呼吸の止まりを指摘された
・朝起きたときに頭が重い、口が渇いている
・日中、会議中や運転中にも強い眠気を感じる
・夜中に何度も目が覚めてしまう
こうした症状は、単なる「疲れ」や「寝不足」として見過ごされてしまうことも多いのですが、体からの大切なサインである可能性があります。
【原因】睡眠時無呼吸症候群はなぜ起こるのか
睡眠時無呼吸症候群の多くは、眠っている間にのど(気道)が狭くなったり、ふさがったりすることで起こります。
これを「閉塞性(へいそくせい)睡眠時無呼吸」と呼びます。閉塞性とは、空気の通り道がふさがれてしまうという意味です。

原因として最も多いのは肥満です。首まわりや舌のつけ根に脂肪が
つくと、気道が物理的に狭くなりやすくなります。
そのため、肥満の方はもちろん、短期間で体重が増えた方も注意が必要な病気だといえます。
体格だけが原因ではありません。あごが小さい、あごが後ろに下がっている、扁桃腺(へんとうせん、のどの奥にあるリンパ組織)が大きいといった、生まれつきの骨格や体の特徴も原因になります。
日本人を含むアジア人は、欧米人に比べてあごが小さい方が多いため、肥満でなくても発症することが珍しくありません。
加齢によってのどまわりの筋肉がゆるむことや、飲酒、睡眠薬の使用も、気道が狭くなる要因として知られています。
また、仰向けで寝ると重力の影響で舌が奥に沈み込みやすく、気道をふさぎやすくなることも分かっています。
このように、体格・骨格・生活習慣といった複数の要因が重なり合うことで、睡眠時無呼吸症候群は発症しやすくなるのです。
なお、まれに脳から呼吸の指令がうまく出せなくなることで起こる「中枢性(ちゅうすうせい)睡眠時無呼吸」というタイプもあります。こちらは心不全など心臓の病気が関係していることが多く、循環器の診療とも深く結びついています。
いずれのタイプであっても、自己判断で「太っているから仕方ない」「年齢のせい」と片付けず、専門的な検査で原因を確認することが大切です。
【心臓病との関連】放置すると心臓や血管に負担がかかる

ここからは循環器専門医として、特にお伝えしたい心臓との関係についてお話しします。
呼吸が止まると、体は酸素不足の状態になります。すると脳が危険を察知して覚醒し、呼吸を再開させようとします。
この覚醒の瞬間、交感神経(こうかんしんけい、体を興奮させる働きを持つ神経)が急激に活発になり、血圧や心拍数が一気に上昇します。
これが一晩のうちに何十回、何百回と繰り返されることで、血管や心臓には慢性的に大きな負担がかかり続けてしまいます。
その結果、高血圧、不整脈(ふせいみゃく、脈のリズムが乱れる状態)、心不全のリスクが高まることが、多くの研究で示されています。
さらに重症の睡眠時無呼吸症候群では、脳卒中や心筋梗塞(しんきんこうそく、心臓を養う血管が詰まってしまう病気)の発症リスクも上昇するといわれています。
「たかがいびき」と軽く考えられがちですが、実は循環器の病気と非常に深く関わっている病気なのです。
日中の眠気によって仕事や車の運転に支障が出るだけでなく、命に関わる病気の引き金にもなり得ることを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
すでに高血圧や不整脈の治療を受けている方も、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースは少なくありません。
さらに、睡眠時無呼吸症候群は、糖尿病や脂質異常症といったメタボリックシンドローム(内臓脂肪の蓄積に高血圧・高血糖などが重なった状態)とも関連が深いことが知られています。
睡眠の質が悪くなることで、血糖値をコントロールするホルモンの働きが乱れやすくなり、生活習慣病が悪化しやすくなるためです。
つまり睡眠時無呼吸症候群への対策は、心臓病の予防だけでなく、全身の健康を守ることにもつながる、大切な取り組みなのです。
【自宅でできる検査】簡易式PSGで無理なくチェック

「検査を受けたほうがよいのは分かったけれど、入院してまで調べるのは大変…」と感じる方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめしたいのが、自宅で受けられる簡易検査です。専門的には簡易ポリソムノグラフィー(PSG)と呼ばれています。
PSGとは、睡眠中の呼吸の状態や血液中の酸素の濃度、体の動きなどを一晩かけて記録し、無呼吸の有無や程度を調べる検査のことです。
検査では、無呼吸や呼吸が浅くなる状態が1時間あたり何回起こったかを示す「無呼吸低呼吸指数(AHI)」という数値を調べ、これをもとに重症度を判定します。
当院では、フクダ電子社の簡易式PSG機器「パルスリープ」を導入しており、これを用いた在宅検査をご案内しています。
指先などに小さなセンサーを取り付けて、いつも通りご自宅のベッドで眠っていただくだけの、とても手軽な検査です。
装着方法も簡単で、機器の貸し出しを受けた数日後にクリニックへ返却していただくだけで検査は完了します。
入院の必要はなく、普段の生活リズムを崩すことなく、自然な睡眠の状態のまま無呼吸の程度を確認することができます。
検査結果をもとに、生活習慣の見直しから、マウスピースの作製、CPAP(シーパップ、鼻に装着して空気を送り続けることで気道の閉塞を防ぐ治療機器)まで、症状に合った治療法を医師がご提案します。
いびきの指摘や日中の眠気に心当たりのある方は、我慢せずに一度、簡易式PSG検査を受けてみることをおすすめします。
なお、簡易式PSGで詳しい精密検査が必要と判断された場合には、
連携医療機関での入院検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)をご案内することもあります。
まずは自宅でできる検査から、気軽に体の状態を確認してみることが、健康を守るための第一歩になります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、いびきや眠気だけの問題にとどまらず、心臓や血管の健康にも深く関わる病気です。
肥満や骨格、加齢、生活習慣など、原因は人それぞれですが、共通しているのは「放置すると心臓に負担がかかり続ける」という点です。
自宅でできる簡易式PSG検査なら、入院の負担なく気軽に一歩を踏み出すことができます。
早めに原因を知り、適切な治療につなげることが、将来の心臓病や脳卒中を防ぐことにもつながります。
気になる症状がある方は、当院までお気軽にご相談ください!

